千思万考21 継続賃料について

不動産鑑定評価基準で、賃料に関しては平成2年基準以降変更がなされていない。
継続賃料評価は裁判所で扱う案件になることが多く、当事者からの依頼に基づく私的鑑定と裁判所が依頼する裁判鑑定がなされることがある。

平成2年に定められた継続賃料の4手法(差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法)を用いて、私たち不動産鑑定士は、多くの継続賃料を評価しているが、今、司法から継続賃料評価に対する意見が厳しい。

その理由は、私的鑑定の相互及び裁判鑑定に開差がありすぎるということである。また、上記手法に対する理論武装の欠如を問われることもある。

新規賃料の鑑定評価の場合は、経済合理性に基づいた行動をとる市場参加者の設定する賃料を大量調査することにより新規賃料が把握され、市場分析を行うことにより現在の鑑定評価基準の手法を駆使して鑑定評価額を求めることが可能である。
しかし、継続賃料では、当初の賃貸借がそもそも正常賃料でなされたか否かを含めて、過去の賃貸借の経緯、当事者の意識、当事者の事情の変更等々により、正常賃料から大きく乖離した賃料で賃貸借が行われていることが多い。

このような継続賃料を、鑑定士が果たして評価できるのか。
行なうべきだとの意見は、鑑定士には多いが、それでは、なぜ鑑定士相互の結果に開差が大きいのか。
鑑定士は、自分の行なった評価が当然正当な金額だと思っているが、大きな開差が生じている専門家同士の意見がある場合、果たして社会が専門家として容認するのだろうか。
継続賃料に対する理論武装をきちんと行なわないと、対応できない状態に来ている。

このような危惧を覚え、10月に中国会で研修会を行ない、現在、冊子にまとめているところである。

研修会の議論の中で、今までの継続賃料の考え方に本質的な誤りがあることが明らかになったと思っている。
不動産鑑定評価基準の賃料に関する部分について、現在改正が検討されていると聞く。
社会に対して信用され得る評価書を書くための基準の理論武装が、どこまでできるのかが楽しみである。

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