千思万考09 3年目をふりかえって

サイト開設後3年が経過した。
この間、限りなく下落が続くと思われていた不動産価格が一部上昇に転じている。
サラリーマン等にはあまり実感のない景気回復だが、日本経済は2002年から着実な回復を続けており、企業の業績が良好となったことから、市場参加者の期待が変化した結果であろう。

一方、賃料については、大きな変化は認められない。賃料の上昇が不動産価格を上昇させるという基本構造があるが、現実は、不動産価格の上昇が原価を押し上げ、新規賃料が上昇している傾向があるようだ。地方都市では、中心商業地で高額な取引が散見されるが、不動産価格が急激に上昇するという状態ではない。

私たちの業界では、この1年間は取引事例収集の新スキームの全国展開で大変であった。
システムそのものは、当初の試運転で試行錯誤を行ったことから、大きな混乱はなく進むことができたが、新スキームに対応するのはパソコン作業が必ずしも得手ではない全国の鑑定士であることから、取引事例の作成方法について多くの質問があり、質問を受け付ける委員になってもらった鑑定士は、そのため多くの時間を割かれ、本当に迷惑をかけたと思っている。
半年前の開始時には不安であったが、何とか軌道に乗せることができ、ほっと一安心しているところである。

さて、過日REA-Netのモニターになって欲しいとの連絡が鑑定協会からあり、承諾したところ11月末にその案内が届いた。その説明の中に、REA-Netの行うサービスとして、
●事例閲覧サービス
●情報共有交換機能
●ファイル受渡し機能
等があるらしい。詳細はまだ使っていないので不明であるが、今後、モニター会員として気がついたことを提言していきたいと思っている。

ところで、このREA-Netについては、平成19年8月の情報安全活用委員会の議事録で、責任者から説明を受け、委員会で承認されており、9月の理事会議事録で了承されたシステムである。来年度からの全国実施を目途にするとのことであるが、今まで委員会レベルでは議論されていたのだと思うが、専門委員以外の私たち一般の鑑定士はその内容をほとんど知らない。今後、早急に多くのことを士協会レベルで検討していく必要があるが、気になることがある。
それは、当該システムを全国展開するに当たり、「便利になるから。」という説明が時々入ることである。

そのように言った方が、全国展開しやすいのかも知れないが、私は全く違うと思っている。
便利になるとは、事例を一元管理し閲覧が便利になることを意味していると思うが、ほとんどの協会員は、現在のほうが遙かに便利である。
私の事務所においても、県内の取引事例はほとんど蓄積している。事例を見ようと思えばどこに行くこともなく、事務所で全て足りるからこれほど便利なことはない。便利さでこのシステムを広める説明を行うことは、大きな誤りだろう。

情報に対する扱いが大きく変わった個人情報保護法の施行、私たち不動産鑑定士の事例収集体制が根本から変わった新スキームの全国展開、このような大きな変革を受けて、私たちの今まで行っていた取引事例の保管体制が問われているのである。時代が変わったということではないだろうか。
個人の鑑定士としては若干不便にはなるが、収集した取引事例を一元管理し、情報漏洩の可能性を限りなくゼロに近づけている努力を私たち一人一人が責任を持って対応しなければならない時代に入ったのである。そこには「便利」という言葉の入る余地のない、鑑定士としての情報に対する責任の問題だと思っている。

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