千思万考05 コンピュータ全盛時代だが

日進月歩でコンピュータ技術が進歩している。 私たちの業界では、地価公示業務がコンピュータ処理をされるようになったのが、今から約10年前のことである。

平成10年の地価公示の仕様書に始めて下記の文言が加わっている。 第2-四 コンピュータによる各書式、各調書及び各資料の作成に必要な業務をおこなうこと。

それまで、個人的には先進的に利用していた人も多いが、鑑定協会全体がコンピュータの必要性を認識したのは、この地価公示のコンピュータ化であったと思う。 今年からは不動産取引価格公開制度が全国展開され、専用のサーバを用いて全国の地価公示に従事している不動産鑑定士により取引事例収集体制が確立している。 もはやコンピュータ無くして、鑑定評価の仕事もできない時代となっている。 私自身も、事務所にいるときは一日中コンピュータと向かい合っている毎日であり、必要不可欠な道具としてその便利さをいつも享受している一人である。 しかし、このコンピュータ全盛時代においてあえて言いたい。 不動産の鑑定評価にとっては、最も大切なことは判断業務なのである。 この社会における一連の価格秩序の中で、対象不動産がどこに位置するのか、ミクロ的には、対象不動産の個別的要因は何か、取引事例と比較してどちらがいいか、どこが悪いか、等々の判断業務が最も大切な内容であり、現地に行かずにその判断は不可能である。 コンピュータを利用した統計分析は、現在ソフトの進展により比較的簡単に行うことが可能となり、その結果は多くの示唆を与えてくれる場合がある。しかし、あくまでそれは参考に過ぎず、結果の解釈を行い吟味し、現地を踏査して、最終的に私という人間の行う判断自体が鑑定評価なのである。 コンピュータを利用した多くの技術を使うことの必要性は認めるが、しかし、あくまで道具に過ぎず、個人の判断能力を高めることこそが、不動産鑑定士としては普遍的に変わらない最も大切なことである。

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